友人代表スピーチ 5分・標準
ただいまご紹介にあずかりました、新婦の友人の◯◯と申します。本日はこのような席にお招きいただき、ありがとうございます。僭越ではございますが、友人を代表してお祝いを申し上げます。
◯◯さん、△△さん、ご結婚おめでとうございます。ご両家の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。
◯◯さんと出会ったのは、新入社員の研修でした。同じ班になり、最終日の発表を二人で担当することになりました。前の晩、私はどうしても筋道が立てられず、半ば投げ出しかけていました。そのとき彼女が言ったのは「じゃあ、いちばん伝えたいことだけ先に決めよう」でした。あの一言で、散らかっていたものが急に片づいたのを覚えています。
彼女は、物事を大きく動かすタイプではありません。けれど、止まっている人の背中に手を置くのがとても上手です。私が転職を迷っていた時期も、賛成も反対もせず、ただ「◯◯が決めたなら、それでいいと思う」と言ってくれました。決めたのは私ですが、決められたのは彼女がいたからです。
仕事の面でも、彼女の丁寧さにはそのたびに助けられました。誰も気づかないところで数字を突き合わせ、間違いを静かに直しておく。手柄になりにくい仕事を、当たり前の顔で引き受ける人です。周りがそれに気づくまでに少し時間がかかりましたが、いまでは彼女に頼む仕事がいちばん安心だと、皆が言います。
△△さんのことを最初に聞いたのは、三年前の春でした。いつも聞き役の彼女が、その日は自分から話していました。どんな人なのかと尋ねると、少し考えてから「話をさえぎらずに聞いてくれる人」と答えました。彼女らしい答えだと思いました。
実際にお会いして、その意味が分かりました。△△さんは、彼女が言葉を探している間、急かさずに待つ方でした。彼女がゆっくり話せる相手なのだと、見ていて分かりました。
これから、お二人で決めることがたくさんあると思います。うまく決まらない日もあるかもしれません。そんなときは、あの晩の言葉を思い出してください。いちばん伝えたいことだけ、先に決める。それだけで、たいていのことは片づきます。
彼女と働いた三年のあいだに、忘れられない場面がもう一つあります。取引先との打ち合わせが長引き、こちらの落ち度で先方にお時間をいただいた日のことです。皆が下を向いているなかで、彼女だけが顔を上げて、何が起きたのかを順に説明していました。言い訳をせず、まだ決まっていないことは決まっていないと言う。あの場にいた全員が、彼女の言葉で落ち着きを取り戻しました。
その日の帰り道、私は思わず「よく話せたね」と言いました。彼女は少し考えてから、「困っているのはこちらより先方だから」と答えました。自分がどう見えるかではなく、目の前の人が何に困っているかを先に見る。あの一言を、私はいまも仕事の指針にしています。
結婚が決まったと聞いたのは、去年の暮れでした。報告のあとに彼女が言ったのは、式のことでも指輪のことでもなく、「これからは二人で決めることが増えるね」でした。うれしいというより、少し身が引き締まったような顔をしていました。彼女らしいと思いました。
お二人の毎日に、穏やかな時間が積み重なりますように。本日は、誠におめでとうございます。